闘病しながら投資

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iPS細胞論文不正問題の山中教授の責任と報道について思うこと

iPS細胞に関する論文不正問題への対応として、iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授は当面の給与を研究所の基金へ寄付するとのこと。



問題の論文の著者である助教は期限付きの雇用であったため成果を急いでしまった、と研究者が置かれている労働環境こそ不正を生む一因だ、といった同情的な意見も見られます。研究者も生活がありますから、雇用が不安定ななかで研究を続けていき成果を求められるのは大変なプレッシャーでしょう。


しかし、本論文では主要なfigure全てで改竄がなされていたそうなので、この助教個人の倫理観が決定的に欠けていたとしか思えません。不正を防ぐ新たなシステムをいくら構築しても、個人のレベルで重大な問題があれば論部不正が0になることは今後もないでしょう。


さて、この問題に関して山中教授の責任はどの程度問われるか、です。まず、山中教授は共著者ではありませんし、査読者でもないようです。研究所の所長として責任はある程度あるのでしょうが、迅速に対応されて謝罪されていますので、これで十分ではないかと思います。所長を辞任する必要はもちろんありませんし、私は給与を寄付する必要もなかったと思います。


今後この問題で、山中教授個人に対する過剰で不要なバッシングが行われないように願っています。冒頭にリンクした共同通信の記事は、公開時は山中教授が論文不正に関わったかのような印象を与えるタイトルをつけていました。そしてツイッターでの指摘(炎上)をうけた後、内容はそのままでタイトルのみ変更しました。このような不当なマスコミ報道は疲れた個人をさらに追い込むものです。


山中教授には研究だけに没頭できる、あるいは後進を育てることに専念できるよう切に願います。日本の行政やマスコミとの関わりに疲弊されて日本を去らないでほしいです。過去には日本に見切りをつけて渡米されたシカゴ大学の中村教授の様な例もあります。優秀な人材が日本を去ってしまう国家としての損失は計りしれません。